【歯科医院向け】松澤弁護士のザワザワ法律相談室【vol.1】
歯科医院の皆さん、ザワザワ森へようこそ。
歯科医院経営や患者さん対応において、 「これは法律的にOKなの?」「こういう場合はどういった対処が正解?」などなど、疑問・不安に感じていることはありませんか?
この森では、ザワザワ森の住人たちがそんな疑問や不安を、弁護士のマツザワ先生に相談して解決していきます!
さて、さっそくザワザワ森に月一回の法律相談がやってきました。
本日のお悩みは「労働環境と労働時間」です。
目次[非表示]
- 1.登場人物
- 2.歯科医院の労働環境と、労働時間についての相談
- 3.今回のポイント
- 4.検討・改善すること!
- 5.まとめ
- 6.お悩みや質問を募集中です
- 7.マツザワ先生 -information-
登場人物
歯科医院の労働環境と、労働時間についての相談
🧸クマシカ歯科医院クマ院長:
マツザワ先生!
スタッフから急に「辞めたい!労働基準法に違反している」と言われたんですよ!いったい何が悪いのかわからなくて…
⚖ マツザワ弁護士:
そうなんですね!?何があったのですか?
(急に辞めたいって話したっていうけど、こういった場合スタッフは前々から辞めたそうなオーラー出してるんだけどね…💦)
🧸クマシカ歯科医院クマ院長:
スタッフが、「昼休みの時間の半分は何かと作業をしています。さらに受付が1人なので、昼休み中に電話がかかって来たら対応しなければいけない。しんどい!もうやめる!」と言ってきたんです。
⚖ マツザワ弁護士:
それは、クマ先生が「休み時間も対応しろ」などといった、指示をしているわけではないんですよね?
🧸クマシカ歯科医院クマ院長:
もちろんです。
昼休みなど「休憩はちゃんと取ってね!」と伝えているんですよ。
⚖ マツザワ弁護士:
ふむふむ。実際に昼休みの作業や、電話対応はどのような状況だったんですか?休憩時間は確保できていたんでしょうか?
🧸クマシカ歯科医院クマ院長:
うーん、どうかなぁ…。細かいことは事務長に任せているからなぁ…。(曖昧)
あっ。事務長といえば、そのスタッフが「朝も、更衣室で着替えが終わって、作業を始める直前からタイムカードを押すように事務長から言われた!それ違法じゃないですか!?」って言っていました。
⚖ マツザワ弁護士:
着替えは、更衣室でしなければならないんですか?
🧸クマシカ歯科医院クマ院長:
はい。外で汚れるのも良くないので、更衣室で着替えるということにしています。
⚖ マツザワ弁護士:
そうですね…。
まず、昼休みについてですが、残業代等の計算で労働時間としてカウントするのは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」となっているんですよ。
形上休憩時間が置かれていても、労働者が休息のために労働から完全に解放されることを保障されていなければならないんです。
なので、実質的には何かあったときには対応することになっているなど、いわゆる手待時間は休憩に含まれなくなりますよ。
この事例の昼休み中の作業時間や、電話対応は明らかに業務とみなされますので、勤務時間に含まれてしまいます。
なので、休憩を与えたことにならないんですよ。
また、更衣室での更衣の時間ですが、そういった準備活動も、使用者から医院でやることを義務付けられているような場合には、労働時間としてカウントされてしまうんです。
🧸クマシカ歯科医院クマ院長:
えええー!ってことは残業代などもあとから請求されたりするんですか?
⚖ マツザワ弁護士:
そういった可能性もあるかもしれませんね💦
今回のポイント
労働基準法第34条では、労働時間が
- 6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分
- 8時間を超える場合は、少なくとも1時間
の休憩を与えなければならない、と定められてられいます。
いくらクマ院長が「休憩取りなよ~」といっても従業員が休息をしっかりとるような仕組みつくりがなければ、休みが取れないわけなので休憩を与えたことにはならなくなってしまいます。
また、更衣など、業務の準備作業や後かたづけについても、事業所内で行うことが使用者によって義務づけられている場合などには、労働時間としてカウントされてしまいます。
検討・改善すること!
- 雇用しているという意識をしっかりもつ
- 従業員の労働時間把握をする
- タイムカードの打刻のタイミングをしっかりルール化
- 就業規則・給与規定をたまに見直す
- スタッフの増員や業務効率化、外注化を検討する
🧸クマシカ歯科医院クマ院長:
マツザワ先生、わかりやすくご説明ありがとうございます!
自分は院長なので、朝から晩までついつい働いてしまい、みんなも同じような感覚で働かせてしまいました💦
まずは先ほどの改善ポイントを参考に、院内のルールをきちんと定めて行きたいと思います🧸
スタッフには改善を提案し、面談して離職を留まってもらえないか相談してみます。
まとめ
いかがでしたか?今回は労働管理の問題点でした。
医院経営では、労働時間の範囲が曖昧な場合も多くありますが、スタッフに心地よく長く働いてもらうためにはしっかりとルールを定めておきましょう。
また、労働時間が法律で定められた労働時間を超えた場合は、時間外割増賃金を支払う必要があります。
休み時間での作業や、定時以降の残業の頻度が多くなってきたら生産性をあげる仕組みづくりや、スタッフの増員などを検討して、みんなが働きやすい環境を作っていってくださいね。
※クマシカ歯科医院は実際に存在しない架空の歯科医院です。
お悩みや質問を募集中です
当コーナーでは、歯科医院の皆様からのお悩みを募集しています。
「相談フォーム」より、必要事項をご記入の上送信してください。お寄せいただいたお悩みを、「松澤弁護士のザワザワ法律相談室」に掲載し、松澤先生からのアドバイスをお届けいたします。
マツザワ先生 -information-
■マツザワ先生ご登壇セミナーは、現在アーカイブ配信申込受付中です!
「実際の事例から学べる患者さんとのトラブル対策 」(2023年5月19日開催 )
患者さんとのトラブル対策について、実際の事例を交えながら解説しています。 ぜひご視聴ください!
■公式LINE
「松澤弁護士のザワつく部屋!!」歯科専門公式LINE!
お得な情報や歯科向けお役立ちセミナーのご案内を致します。
友だち登録はこちら:https://lin.ee/TtymHEg
■歯科医院向け簡易顧問契約が、なんと月々4,980円!
「弁護士を、もっと身近に!」
弁護士ならではの特典がついた歯科向け顧問契約です。
月々4,980円で、ちょっとした疑問や軽い相談が出来ます。
また相談以外の様々な特典が付いています。
いざという時に即座に対応してくれる心強い簡易顧問契約。
今なら初月無料です!
詳しくはこちら:https://komonsalon.com/dentalsp